レクチンフリー新たな食事法

低FODMAPとしても推奨されるグルテンフリーに次ぐ新たな食事法となるか?
今、全米で話題となっている【レクチンフリー】について解説した書籍『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』が話題を集めています。

今回の記事では、本書についてご紹介いたします。

本書籍の概要

本書は、医学博士のスティーブン・R・ガンドリー氏が執筆された『The Plant Paradox』という原著名の書籍を、医学博士の白澤卓二氏が翻訳したものとなっており、株式会社翔泳社より2018年6月20日に刊行されました。


本書では『レクチン』という植物由来の成分に着目し、従来までの健康法・食事法の常識を覆す内容となっており、原著はアメリカのテレビ番組で紹介されたり、Amazon.comの書籍総合ランキングでも度々上位にランクインする等(高評価★★★★★ 1,000件以上。根強い人気! 世界18カ国で刊行)、販売されてから1年以上が経つ今も注目され続けている書籍となっています。

それでは、本書の内容について触れていきましょう。

【本書籍の構成】
◆PART1:肥満・病気の謎を解き明かす「サイエンスヒストリー」
◆PART2:レクチンフリーの食事法
◆PART3:ミールプラン

そもそも「レクチン」って何?

レクチンとは、具体的にどういった成分なのか?

以下、ガンドリー氏の言葉を随所から翻訳した文章にてご説明します。

レクチンという言葉はあまり聞き馴染みのない人も多いと思いますが、「グルテン」という言葉はご存知の方も多いはずです。
実はグルテンも数千もの種類のあるレクチンの一種であるとされています。

レクチンは、ほぼ全ての植物に含まれており、牛肉・豚肉・鶏肉・魚など、食事を構成するほとんどの食材に含まれています。
レクチンは様々な働きを持っていますが、植物が動物と戦う際の【武器(毒)】となります。
植物は、地球上にヒトが現れるずっと前から、昆虫から身を守る術として身に着けてきました。
つまり、種などの部分にレクチンをはじめとする毒物を蓄えているのです。

牛などの動物が飼料としてレクチンを含んだ豆やトウモロコシを食べることで、レクチンはその肉や牛乳に移ります。
また、レクチンが豊富な飼料のもと育った鶏の卵、そして大豆やトウモロコシ由来となる餌で養殖された魚にも同じことが言えます。

そして、牛や卵や魚などを食べることで人間の身体にもレクチンが移ります。
レクチンは私たち人間が摂取しても健康を少しずつ衰えさせ、いつの間にか太らせてしまったりします。
本書の原題『The Plant Paradox』としたのは、多くの植物性食品は身体に良いがその一方で実は病気や肥満をもたらしているからです。

なるほど…。

当サイトでご紹介している食事法『FODMAP』は、基本的に『胃腸の弱い人』のために考えられた“FODMAP糖質”を避ける食事法ですが、レクチンフリーはまた別の方向から健康を考えた食事法ですね。

ほとんどの食品に含まれているレクチンが身体に良くないから避けましょう、ということのようです。

レクチンが多い食材(毒)と少ない食材(味方)

Amazon.comの書籍紹介文には、以下のように簡単に紹介されています。

【健康食といわれる、体を蝕む食べ物】
●豆類全部………大豆・枝豆・モヤシ×
●茶色の食べ物…全粒粉パン・蕎麦×
●野菜……………トマト・キュウリ・ナス×
●ナッツや種……カシューナッツ・チアシード×

これだけでは情報が少ないと思いますので、一般的な食品を例に、食べてはいけないレクチンが多い食品食べても安心なレクチンの少ない食品をリストにまとめました。

NG(毒)

  • パン
  • 玄米
  • パスタ
  • 蕎麦
  • シリアル
  • トマト
  • キュウリ
  • カボチャ
  • ジャガイモ
  • ナス
  • トウモロコシ
  • メロン
  • ピーナツ
  • カシューナッツ(ナッツではない)
  • 枝豆
  • 豆腐
  • 豆類全般(スプラウトもNG)
  • 砂糖
  • ローカロリー飲料
  • チアシード …など
OK(味方)

  • 玉ねぎ
  • オクラ
  • アボカド
  • サトイモ
  • サツマイモ
  • ナッツ全般
  • ココナッツ(ミルク、クリームもOK)
  • オリーブ
  • こんにゃく
  • 味噌
  • キムチ
  • ダークチョコレート
  • 海藻類
  • キノコ類
  • アブラナ科の野菜類(ブロッコリー、白菜、キャベツなど
  • 葉菜類 …など

OKな食品に【玉ねぎ】が入っている時点で、FODMAP食事法とは大きく異なる点ですね。
FODMAP食事法では「玉ねぎは胃腸の不調を引き起こすトリガーとなる」とされている最も避けるべき食品ですので、根本的にFODMAPとは考え方が違う食事法だと言えます。

※FDOMAP食事法における『食品判定の一覧』はコチラをご覧ください。

グルテンフリーで効果が出ない方へ

本書の紹介文からの抜粋をご紹介します。

よく知られる「グルテン」は、数千種類もある「レクチン」の一種にしか過ぎず、グルテンだけを排除しても、レクチンを排除しなければ効果が上がりません。
病気・肥満の根源は「レクチン」なんです。

こちらのレクチンフリー食事法は、肥満の解消、ダイエットの目的とされて提唱されていたりもするので、これもFODMAP食事法と違う点と言えますね。

「サイエンスヒストリー」と「食事法」が合体した、今までに類がないタイプのダイエット・健康本です。
多くの健康本は「こうしたら健康になれる」というハウツーだけで完結していますが、本書は、レクチンフリー食の根拠となる、植物がレクチンをあみ出すにいたった経緯を科学や生物学からやさしく説き起こして丁寧に説明しています。
健康本でありながら、読む楽しさも味わえるスケールの大きい本です。

普通の食事をしても身体が不調だったり、どうしても肥満が解消できない…とお悩みの方は、一度こちらの『レクチンフリー食事法』を試してみてはいかがでしょうか。

また、当サイトでは私のような胃腸の弱い方におすすめの『FODMAP食事法』をご紹介しています。
どちらも今までの常識を覆すような新しい食事法なので、なかなか一般化されず認知度も低いですが、テレビや雑誌などで紹介されている食事法では改善できなかった人には、どちらの食事法も試してみる価値はあると思いますよ!

書籍情報

『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』
定価:1,800円(税別)
著者:スティーブン・R・ガンドリー
訳者:白澤卓二
発売日:2018年6月20日
判型:四六判・384ページ

著者プロフィール

スティーブン・R・ガンドリー 医学博士

スティーブン・R・ガンドリー 医学博士M.D.医学博士。ヒト微生物叢と腸との関わりの世界的権威。2000年、手術不能な冠動脈疾患患者が食事法の変更とニュートリシューティカル(アミノ酸)サプリメントの組み合わせによって劇的に回復したことに感銘を受け、それまでのトップ心臓外科医としてのキャリアの方向性を大きく変えて、カリフォルニア州パームスプリングスとサンタバーバラに国際心肺研究所と、その下部機関として回復医療センターを設立。そこで大半の疾病を食事法と栄養摂取を変えることで治療する研究と臨床を行っている

Twitterプロフィール より抜粋

訳者プロフィール

白澤卓二 医学博士

白澤卓二 医学博士白澤抗加齢医学研究所所長。お茶の水健康長寿クリニック院長。米国ミシガン大学医学部神経学客員教授。1982年千葉大学医学部卒業。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーなどを経て、2007年から2015年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

長寿遺伝子の白澤卓二/Takuji Shirasawa|白澤卓二プロフィール より抜粋

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